野鳥撮影を始めた時は撮れればいいやと思っていても、野鳥撮影を続けていると、段々満足ができなくなり、もっといいカメラ、もっといいレンズが欲しくなってきます。
であれば、初めから上位モデルのカメラやレンズを買っておく方が、買い足しや買い替えの必要がなくなるので、トータルの費用は安上がりだったりします。
野鳥を確実に綺麗に撮りたいならば、野鳥撮影に最適な性能を持つカメラとレンズを組み合わせるがベスト。撮影技術が多少低くてもカメラやレンズがカバーしてくれるでしょう。
ただし、上位モデルのカメラやレンズは高価で大きく、重くなる傾向になりますので、そこは注意が必要です。
野鳥撮影求めるミラーレスカメラの性能・機能

これまでの野鳥撮影の経験から、私が考える野鳥撮影の際にミラーレスカメラに求める性能は以下の通りです。
- 積層型センサー
- 鳥を認識するAF
- ピントが速いAF
- 高画素
- 高感度
- 広いダイナミックレンジ
- 高解像度のEVF(電子ファインダー)
- 軽量
- 高速連写
- プロキャプチャー
積層型センサー
ミラーレスカメラの超高速連写は電子シャッターです。また静音モードのシャッターも電子シャッター。
電子シャッターの場合、速い動きをする被写体はローリングシャッターの歪みという現象が起きます。
ローリングシャッターの歪みとは、被写体の画像がありえない歪んだ形になることです。
これはCMOSセンサーの特性で、電子シャッターの場合、センサーがスキャンして被写体の光を捉えて記録するため、上下で記録する時間の差が生まれてしまうから被写体が歪んでしまいます。
積層型センサーは光を捉えて記録までの速度が速いため、上下の時間差が縮まり、ローリングシャッターの歪みを抑制します。
メカシャッターの場合はローリングシャッターの歪みはあまり気にならないですが、超高速連写や静音モードを多用して撮影するなら積層型センサーを搭載するミラーレスカメラがオススメです。
鳥認識AF・高速AF
必須ではないですが、鳥認識AFを搭載したミラーレスカメラがあると野鳥撮影の際に便利。
止まっている野鳥は鳥認識AFがなくても普通に撮れますが、飛んでいる野鳥を撮りたいなら鳥認識AFがあると歩留まりが上がります。
最新の上位モデルのミラーレスカメラには鳥認識AFがほとんど搭載されています。
AFは、もちろん速ければ速いほど良いです。ピントが合うのが遅いと、イライラしますし、もたもたしてると野鳥が飛んで行ってしまいシャッターチャンスを逃します。
高感度
ヒタキ類や雀類などの小さな野鳥はちょこまかと動きが速いので被写体ぶれを防止するためにシャッター速度を上げて撮影することが多いです。
森の中や藪の中など暗い場所にいる野鳥を撮影する場合は、シャッター速度を上げるとISO感度も上げる必要があるため、なるべく高感度耐性のあるカメラの方が有利です。
一般的には、イメージサンサーが大きい方が、イメージセンサーが同じ大きさならば画素数が少ない方が高感度耐性が高いと言われています。
ただ高画素機でも技術革新により高感度耐性を高めているモデルもあるので、スペック票だけでは比較が難しいところ。
ダイナミックレンジ
ダイナミックレンジとは、明るい部分から暗い部分をとらえる幅のこと。ダイナミックレンジが広いほど、明暗差のある被写体を綺麗に撮ることができます。
ダイナミックレンジが広い方が、白とびや黒つぶれが起きにくいです。
ダイナミックレンジが広いと白い鷺類や黒いカラスなどの撮影でより綺麗に撮ることができます。
一般的にはイメージセンサーが大きい方がダイナミックレンジが広いと言われています。
マイクロフォーサーズよりもAPS-Cの方が、APS-Cよりもフルサイズの方がダイナミックレンジが広い傾向にあると言われています。
ダイナミックレンジはスペック表には記載されておらず、機種間の比較は難しいです。
高解像度のEVF(電子ファインダー)
野鳥撮影ではEVF(電子ファインダー)を搭載するカメラを使った方が良いです。
液晶モニターだけですと、明るい場所での撮影ではモニターが見えにくくなってしまい被写体にピントがあっているのか分からない場合があります。
またEVFは高解像で鮮明なEVFが見えやすくてオススメです。
軽量
カメラは軽量である方が良いです。ただし、超望遠レンズはレンズ自体が重いので、野鳥撮影の場合は、カメラの重量はあまり気にしなくても良いかも。
またコンパクトすぎるとしっかりと持てないので、ある程度は大きく、グリップがしっかり握れるカメラの方がオススメです。
野鳥撮影ではカメラの重量や大きさはそれほど重要視しなくても良いですが、カメラ撮影は野鳥の撮影だけではなく、旅行や街歩きで持ち歩いたり、子供、ペットなどの撮影に使う人も多いと思いますので、重すぎ、大きすぎは考えものです。(サブカメラを持つなら別)
高速連写
野鳥の動きを細かく撮りたいなら高速連写は必須。ただし、高速連写を多用しすぎるとメモリーカードがすぐに一杯になったり、後で写真の整理に困ったります。
最低でも10枚/秒あれば良いかと思います。
プロキャプチャー
プロキャプチャーとは、シャッターボタンを半押しを続けて、シャッターボタンを押すとシャッターボタンを押した瞬間の前後の連写が撮れる機能のこと。
野鳥の飛び立つシーンや餌を捕る瞬間を撮りたい際に便利な機能です。
無くても問題ないですが、あれば便利。
プロキャプチャーは電子シャッターで撮る方式なので、プロキャプチャーを使いたいならばローリングシャッターの歪みを抑える積層型センサー搭載のカメラがオススメです。
これから野鳥撮影のために高額のカメラを買うのであれば、できればプロキャプチャーの機能が搭載された機種を選ぶのがオススメです。
野鳥撮影で重視したいレンズの性能

野鳥撮影で重視したいレンズの性能は以下の通りです。
- 超望遠であること
- 軽量かつコンパクトであること
- AFが速いこと
- 高解像度のレンズであること
- 開放F値が低いこと
ちなみに残念ながら、安く高性能のレンズはないのが現実です。高性能のレンズはどうしても高額になってしまいます。
超望遠レンズ
被写体に近づくことが難しい野鳥撮影において、レンズが超望遠レンズであることは最も重要です。
焦点距離は最低でも35mm判換算で400mm以上が理想的。経験上、できれば600mm以上は欲しいところ。
なお、テレコンを付けると1.4倍または2.0倍の焦点距離になりますので、35mm判換算で200mmや300mmのレンズでも撮影できます。
ただし、テレコンを使うと機種によっては画質が落ちたり、AF速度が低下することもあるので、できればテレコンは使わない方が良い場合もあります。
またフルサイズのミラーレスカメラの場合は、APS-Cクロップ機能が使えるので、焦点距離を約1.5倍にすることがあります。
その分、画素数は下がりるので、APS-Cクロップ機能を使うならば、画素数の高いカメラが有利です。
軽量かつコンパクト
野鳥撮影は野外での撮影がほとんどなので、機材を持っての移動が伴います。
焦点距離が長いレンズは大きくて重くなる傾向にあります。また明るいレンズ(開放F値が低いレンズ)も大きく重くなる傾向です。
荷物が重くかさばる機材は、野鳥撮影の場所へ移動するのに一苦労です。
またレンズが大きく重いと、体力によっては手持ち撮影が厳しくなり、三脚が必要になることもあります。
三脚もそこそこ重量があるので、カメラとレンズに三脚分の重量も加算されます。
できるだけ全体をコンパクトかつ軽量にしたい場合は、テレコンとAPS-Cクロップ機能をフルに活用すれば、焦点距離が短めの望遠レンズで野鳥撮影を楽しむことができます。
ただし、テレコンが使えないレンズもありますので、購入する前に確認が必要です。
レンズのAF
AFは速い方が良いです。カメラのAFの反応が速くても、レンズのAFが遅いとカメラの性能を生かしきれません。
高解像度のレンズ
レンズは高解像度が理想的。特に高画素のカメラの場合、レンズの解像度が悪いとカメラの高画素が十分に生かせません。
メーカーのレンズのラインナップの中でグレードの高い位置づけのレンズが理想的です。
低い開放F値
開放F値は低ければ低いほど野鳥撮影に有利です。
開放F値が低いレンズ(F2.8やF4.0など)だと、暗い環境下でもシャッター速度を上げてもISO感度を上げずに撮影が可能。
一般的にISO感度を上げるとノイズが酷くなるので画質が落ちます。ISO感度はなるべく上げずに撮影できる方が綺麗な写真に仕上がります。
森の中の野鳥撮影や藪の中にいる野鳥の撮影では、開放F値が低ければ・・・と思うことは良くあります。
暗くなってから活動する野鳥もいます。
ただし、開放F値が低いレンズは大きく重くなる傾向です。
最強の野鳥撮影のミラーレスカメラはα1 II
これまで挙げた野鳥撮影で求める性能の条件を満たす、現時点での野鳥撮影最強のミラーレスカメラはα1 IIでしょうか。
鳥認識AFを搭載し、今存在する世の中のカメラの中でもAFの速さと精度はトップクラス。
積層型センサーを積み、センサーは約5050万画素と超画素数。
Eマウント αシリーズのフラッグシップのミラーレスカメラながら、約743g(バッテリー、メモリーカード含む)と他社を含めたフラッグシップモデルのミラーレスカメラの中では軽量級。
手振れ補正も、中央8.5段、周辺7.0段、光学式5軸ボディ内手ブレ補正を搭載し、手持ち撮影も安心できます。
販売価格は80~100万円台の超高額のカメラなので、万が一を考え、購入の際にはSONYのワイド保証に入っておくのが良いかもしれません。
SONYのワイド保証に入っていれば、カメラが壊れても無償で修理ができます。
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α1 IIの性能を発揮できる機動性抜群のレンズ FE 300mm F2.8 GM OSS
レンズはα1 IIの性能を十分に引き出せるように、プロ向けのGM(G Master)が良いでしょう。ただし、GMの望遠レンズはいずれも高額です。
明るいレンズで軽量かつ速いAFを求めるならばFE 300mm F2.8 GM OSSはF2.8が最強。
FE 300mm F2.8 GM OSSはF2.8と明るいレンズながら、1470g (三脚座別)とこのクラスのレンズの中では軽い部類で機動力が高いです。
α1 IIとの組み合わせでは総重量は約2213kgと、まだ手持ち撮影ができる重量の範疇でしょう。
AFは高速・高精度かつ静粛・低振動で、α1 IIの性能を十分に発揮できるレンズ。
焦点距離は300mmですが、APS-Cクロップ機能を使えばF2.8のまま450mmで撮影ができ、α1 IIの場合、画素数は約2100万画素と十分な画素数を保持。
450mmが少し頼りない環境ならば、2倍テレコンを装着すると、開放F値はF5.6に上がりますが、900mmの焦点距離で撮影ができます。
FE 300mm F2.8 GM OSS SONY公式サイト
レンズも高額なのでワイド保証に入っておくと安心です。
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まとめ
野鳥撮影で満足する写真を撮りたいなら、野鳥撮影に最適なカメラやレンズを揃えるのが必要です。
ここで挙げた条件を満たそうとすると、どうしても上位モデルのカメラやレンズに行きついてしまいます。
高価なフラッグシップ級のカメラならば、満足のできる野鳥写真を撮ることができる確率は上がります。
ただし、フラッグシップ級のカメラとレンズの組み合わせは、高額な上、大きく重くなる傾向にありますので、購入の前に良く考えることが肝心。
高いカメラやレンズを買っても、出かけるのが億劫になると本末転倒なので。
レンズ交換式のミラーレスカメラでの撮影経験が乏しい方で、これから野鳥撮影を始めようという方は、遠回りにはなりますが、できればエントリークラス、ミドルクラスのカメラをまず買ってみて、野鳥撮影の経験を積んだ方が良いかもしれせん。
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