円安の影響もあるのか、近頃、物価がどんどん上がっており、カメラやレンズの価格も高騰気味。
野鳥撮影にはカメラの購入に加えて超望遠のレンズが必須。更にはメモリーカードや予備のバッテリーなど、コストは結構かかります。
これから野鳥撮影を始めたいという方の中には、売れ筋のスペックの高いカメラとレンズのセットが高額なため、敷居が高くてなかなか始められないという方も多いと思います。
確かに高級なカメラやレンズはスペックが高いため、野鳥撮影ではある意味では有利に撮影ができます。
ただ高級な上位機種のミラーレスカメラやカメラに組み合わせる超望遠レンズは、高額な上に、重量も重くなる傾向なため、機動性に劣る上、快適に撮影するためには三脚や一脚が必要となり、更に余分な出費がかさむことも考えられます。
しかしながら低予算でも野鳥撮影を始めることはできます。
悩むくらいなら安価なカメラやレンズを購入して、野鳥撮影をスタートした方が早く楽しめます。撮影の腕も経験も上がります。
今回は、手軽に野鳥撮影を始めるために、低予算で購入できるカメラやレンズについて解説します。
安い予算で野鳥撮影を始めるための4つのポイント
低予算で野鳥撮影を始めるためのポイントとしては以下が挙げられます。
中古品のカメラ・レンズを購入する
型落ちのカメラを購入する
センサーサイズの小さいミラーレスカメラを選ぶ
- 超望遠ズームのコンデジを購入する
中古品のカメラ・レンズを購入する
中古品のカメラやレンズは、新品よりも低予算で購入できます。
カメラやレンズは市場に中古品がたくさん出回っており、レアなものやかなり古いもの以外はお店やネットで購入することができます。
ただ人気の高いカメラやレンズの中古品それなりに高価で、お得感を感じられないかもしれません。
メルカリやヤフオクではお得なカメラやレンズを見つけることもありますが、安すぎると撮影に関して問題のあることも考えられるので、ある程度の目利きは必要です。
中古品のカメラやレンズを購入する場合は、ある程度のカメラやレンズの知識がない方には難しいかもしれません。
仮に中古品のカメラやレンズを購入するならば、カメラのキタムラやマップカメラなどある程度有名なカメラショップで購入するのがオススメです。
型落ちのカメラを購入する
日進月歩、進化をし続けるカメラは一定の周期で新製品が発売されます。新モデルが発売されると、旧モデルは型落ちになります。
カメラメーカーやカメラショップは新モデルのカメラを売りたく、旧モデルのカメラの在庫を減らしたいため、旧モデルは一般的に価格が下がります。
新モデルの方がスペックが高く、魅力的ですが、旧モデルでも野鳥撮影はできるので、旧モデルを購入することで新製品を購入するよりも予算を抑えることができます。
ちなみに最近発売が発表されたZ6IIIの場合、価格はニコンダイレクトで435,600円(税込)ですが、旧モデルのZ6IIは287,100円(税込)です。
センサーサイズの小さいミラーレスカメラを選ぶ
デジカメのイメージセンサーにはサイズの大きさが数種類あります。イメージセンサーとは被写体の光を捉えるセンサーのことで、デジカメの中でも最も重要な部品です。
イメージセンサーのサイズには、主に、サイズが大きい順に、フルサイズ >APS-C > マイクロフォーサーズ > 1型 > 1/2.3型などがあります。(フルサイズセンサーよりも大きいセンサーもあります)イメージセンサーの詳細は以下のイメージセンサーの記事を参考にしてください。
一般的にはセンサーサイズが大きいほど光を捉える面積が広いため、高感度に優れ画質が良いと言われています。
ただしセンサーサイズが大きいカメラは高額になる傾向で、更に使用する超望遠レンズも高額な傾向になります。
よってセンサーサイズの小さいものを選ぶと予算を抑えることができます。
また同じレンズの場合、センサーサイズが小さいカメラは大きいセンサーサイズのカメラに比べて焦点距離が長くなるため、安価な超望遠レンズを選択することができます。
レンズ交換式のミラーレスカメラの場合、APS-C、マイクロフォーサーズが小さめのセンサーサイズになります。
フルサイズのセンサーと比べると、APS-Cは1.5倍(CANONは1.6倍)、マイクロフォーサーズは2倍の焦点距離になります。
ちなみに、1型、1/2.3型の場合、ほぼコンデジが主流で、レンズの交換のカメラはないと考えて良いでしょう。
超望遠ズームレンズのコンデジを購入する
もっとも手軽に野鳥撮影を始めるならば、超望遠ズームのコンデジが一番です。ネオ一眼とも呼ばれています。
イメージセンサーが1/2.3型なら10万円以内で購入が可能です。
レンズを新たに購入する必要もなく、レンズ交換式のデジカメよりも軽量になるため手持ち撮影でOKで、三脚や一脚の追加購入も基本的には必要はありません。
オススメの野鳥撮影用のコンデジについては以下の記事を参考にしてください。
低予算のデジカメとレンズの組み合わせ
なるべく低予算で野鳥撮影を始めるという視点から、デジカメとレンズの組み合わせを考えてみました。
中古品についてはピンキリなので今回は省きます。
レンズ交換式のミラーレスカメラ
まずは低予算で購入できるレンズ交換式のミラーレスカメラです。
野鳥撮影ということで、電子ビューファインダー(EVF)のないミラーレスカメラは対象外とします。
電子ビューファインダーとは、カメラ背面の液晶モニターではなく、片目で覗くのぞき窓のことで、ミラーレスカメラの場合、小さな電子モニターになっています。
電子ビューファインダーがなくても、ミラーレスカメラにはカメラ背面に液晶モニターがあるので野鳥撮影は可能です。しかし、野外で撮影する野鳥撮影では、液晶モニターでは光の加減によって画面が見えづらいことがあります。電子ビューファインダーが搭載されていた方が撮影しやすいです。
またレンズは35mm換算で望遠端600mm以上は、できれば欲しいところ。
上記を踏まえて今回紹介するのは、
- CANON EOS R50
- NIKON Z50 注)
- SONY α6400
- OMSYSTEM OM-5
注) 新製品のZ50IIが2024年12月に発売されます。
機種 | EOS R50 | Z50 | α6400 | OM-5 |
メーカー | CANON | NIKON | SONY | OMSYSTEM |
イメージセンサ | APS-C | APS-C | APS-C | m4/3 |
有効画素数 | 約2420万画素 | 約2088万画素 | 約2420万画素 | 約2037万 |
常用ISO感度 | 100~32000 | 100~51200 | 100~32000 | 64~6400 |
拡張ISO感度 (上限) | 51200 | 204800 | 102400 | 25600 |
重量 | 約328g | 約450g | 約403g | 約414g |
ファインダー | 約236万ドット | 約236万ドット | 約236万ドット | 約236万ドット |
モニター | 3.0型 約162万ドット タッチパネル | 3.2型 約104万ドット タッチパネル | 3.0型 約92万ドット タッチパネル | 3.0型 約104万ドット タッチパネル |
ボディ内手振れ補正 | × | × | × | 〇 |
詳細 | R50 詳細を見る | Z50 詳細を見る | α6400 詳細を見る | OM-5 詳細を見る |
CANON EOS R50(RFマウント, APS-C)
CANONのEOS R50(RFマウント)は2023年3月に発売されたAPS-Cのミラーレスカメラ。
本体価格が10万円を切る9万円台。低価格ながら鳥認識AFを搭載。画素数は約2420万画素。
メカシャッターや光学手振れ補正(電子手振れ補正のみ)、防塵防滴を省き、低コスパを実現しています。
「RF100-400mm F5.6-8 IS USM」(最安値で8万円台)との組み合わせならば、レンズ込みで20万円前後で購入可能です。35mm換算は160-640mm。
R50の重量は約429g(バッテリー、カードを含む)で RF100-400mm F5.6-8 IS USMの重量は635g。組み合わせると約1kg(1064g)ほど。野鳥撮影のカメラ・レンズセットしてはかなりの軽量の部類です。
これだけ軽ければ手持ち撮影でも苦なく撮影できるでしょう。
シャッターは電子シャッターのみなのでローリングシャッターの歪み(電子シャッターにより高速で動く被写体が歪んでしまう現象)が心配な方は、やや高めになりますがメカシャッター搭載の上位モデルのR10がオススメ。
ちなみにRF100-400mm F5.6-8 IS USMは、CANONのRFマウントのフルサイズミラーレスカメラと互換性があるので、将来RFマウントのフルサイズカメラを購入しても、RF100-400mm F5.6-8 IS USMは無駄にはなりません。
NIKON Z50(Zマウント, APS-C)
Z50(Zマウント)、 2019年11月22日に発売されたNIKONのAPS-Cミラーレスカメラ。
NIKONのAPS-Cミラーレスカメラには、他にZ f やZ30がありますが、野鳥撮影としてはグリップが深いZ50がオススメです。
画素数は約2088万画素。光学手振れ補正や防塵防滴は搭載されていません。NIKONの電子ビューファインダーは見えやすいと評判が良いです。
メカシャッターは搭載されています。
価格は最安値で9万円台。
レンズは、タムロンの150-500mm F/5-6.7 Di III VC VXD が、最安値で15万円弱と、Zマウントの中ではコスパの良い超望遠ズームレンズ。35mm換算で225-750mmになります。
Z50の重量は約450g(バッテリー、メモリーカードを含む)、150-500mm F/5-6.7 Di III VC VXD の重量は1720g(三脚座なし)。合わせると、こちらは2kg超え。
人によっては三脚や一脚があった方が楽に撮影できるかもしれません。
ちなみにタムロンの150-500mm F/5-6.7 Di III VC VXD は、フルサイズのZマウントと互換性があるので、将来、NIKONのフルサイズのZマウントのミラーレスカメラを購入しても無駄にはなりません。
追記:Z50の新型のZ50IIが2024年12月に発売されます。Z50IIには画像処理エンジンがZ9と同じEXPEED 7が搭載されAFが大幅に向上し、更に鳥認識AFも採用。これから購入を検討している人ならZ50IIがオススメです。
SONY α6400(Eマウント, APS-C)
α6400(Eマウント)は、 2019年2月22日に発売されたSONYのAPS-Cミラーレスカメラで、5年前に発売されたカメラになりますがAFも速く、未だ人気のロングセラー商品。
画素数は約2420万画素。光学手振れ補正や防塵防滴は搭載されていません。メカシャッターは搭載。
現在、最安値で10万円台。
レンズは、SIGMAの100-400mm F5.0-6.3 DG DN OSが最安値で10万円弱とお手頃。ただし、Eマウント版はテレコンバーターは使えないようなので注意が必要。35mm換算で150-600mmになります。
α6400の重量は約約403g(バッテリー、メモリーカードを含む)、SIGMA 100-400mm F5.0-6.3 DG DN OSの重量は1140g(三脚座なし)。合わせると、約1.5kg。1.5kgであれば手持ち撮影も問題ないはず。
OMSYSTEM OM-5(マイクロフォーサーズ)
OM-5は、2022年11月18日に発売されたOMSYSTEMのマイクロフォーサーズのミラーレスカメラ。
約2037万画素で、強力な防塵防滴や光学手振れ補正を搭載。
OM-5の本体価格は最安値で14万円台とR50やZ50に比べると高めですが、35mm換算で140-600mmとなるM.ZUIKO DIGITAL ED 75-300mm F4.8-6.7 IIは最安値で4万円台とコスパ最強のレンズがあります。
レンズをセットで考えると、OM-5とM.ZUIKO DIGITAL ED 75-300mm F4.8-6.7 IIの組み合わせは20万円以内と、予算を抑えることができます。
OM-1の重量は約414g(バッテリー、メモリーカードを含む)、OM-5とM.ZUIKO DIGITAL ED 75-300mm F4.8-6.7 IIの重量は423g。組み合わせると重量は837g!
驚異的に軽量です。これぞマイクロフォーサーズの真骨頂。このレンズに手振れ補正はないですが、OM-5自体のボディ内手振れ補正が強力なので、手持ち撮影で問題ないでしょう。
超望遠ズームレンズのコンデジ
次は超望遠のズームレンズのコンデジです。
レンズ交換式のデジカメは、別途超望遠のレンズを購入しないといけないため、どうしても予算が10万円を超えてしまいます。
別途レンズを購入する必要のないコンデジであれば10万円以内の予算で購入が可能です。
レンズの交換なく、風景写真で広角撮影ができるので、超望遠ズームレンズのコンデジ一台持っていれば、野鳥撮影から旅行の際のスナップ撮影、風景撮影までカバーできます。
またコンパクトかつ軽量で携帯性に優れているのもコンデジの長所です。
今回は、電子ビューファインダー付きの超望遠ズームレンズ搭載のコンデジの中から、10万円以内で購入できる以下のコンデジを選びました。
- CANON PowerShot SX70 HS
- NIKON COOLPIX P950
機種 | SX70 HS | COOLPIX P950 |
メーカー | CANON | NIKON |
センサ | 1/2.3型 | 1/2.3型 |
有効画素数 | 約2030万画素 | 1605万画素 |
35mm換算焦点距離 光学ズーム | 21-1365mm 65倍 | 24-2000mm 83倍 |
F値 | F3.4-F6.5 | F2.8-6.5 |
重量 | 約610g | 約1005g |
ファインダー | あり | あり |
Mフォーカス | あり | あり |
連写(Hi) | 約10.0枚/秒 | 約7コマ/秒 (高速連写120fps:約120コマ/秒) |
手振れ補正 | 光学式 | 光学式 |
RAW | あり | あり |
詳細 | SX70 HS 詳細を見る | COOLPIX P950 詳細を見る |
CANON PowerShot SX70 HS(コンデジ)
CANONのPowerShot SX70 HSは最安値で7万円台。10万円でもおつりが来ます。
1/2.3型ながら画素数が2030万画素。望遠は35mm版換算で21-1365mm(65倍)。十分に野鳥撮影に対応できるコンデジです。
重量はメモリーカードとバッテリー合わせて約610gとかなりの軽量。ポケットに入れることのできるサイズのコンデジではありませんが、日常で使っている鞄やリュックに入れても違和感がないサイズです。
とりあえず、低予算で野鳥撮影を始めたいならば、PowerShot SX70 HSは最適なカメラです。将来、高性能のミラーレスカメラを購入したとしても、コンパクトで軽量なのでサブカメラとしても重宝します。
PowerShot SX70 HSの詳細 CANON公式サイト
NIKON COOLPIX P950(コンデジ)
NIKON COOLPIX P950は最安値で10万円前後。
PowerShot SX70 HSよりもやや高いですが、35mm版換算で2000mmをカバーする超超望遠ズームレンズが魅力のスーパーコンデジ。
レンズ交換式のミラーレスカメラで2000mmをカバーするレンズというのは知っている限りではなく、あったとしても高額な超望遠レンズにテレコンを付けて補うことになると思います。
イメージサンセーは1/2.3型で、画素数は1605万画素。重量は約1005g(電池、メモリーカード含む)。
サイズもそこそこ大きく、画素数や携帯性という点ではPowerShot SX70 HSの方が上ですが、35mm版換算で2000mmの超望遠レンズの魅力は画素数や携帯性の短所を凌駕します。
サイズが大きめとはいえ、レンズは本体に収まるので、レンズ交換式のミラーレスカメラよりも携帯性は上。
野鳥を撮影していると、COOLPIX P950を持っているバーダーさんを見かけることが多く、野鳥撮影では超人気のコンデジです。
低予算の野鳥撮影のカメラまとめ
今回はとりあえず野鳥撮影を始めたいという方向けに低予算でカメラやレンズを揃える考え方やオススメの機材を紹介しました。
早く始めれば始めるだけ、野鳥撮影の経験値も上がり、カメラの撮影技術も向上します。
また野鳥撮影を続けていくうちに、自分に合ったカメラやレンズが分かるようになります。
画質を重用とするのか、それともオートフォーカス、機材の重量を重視するのか・・・今のカメラが物足りなくなり高スペックのカメラの購入を検討する際に、これまで培った撮影の経験値が大いに参考になります。
グレードが高く高額なカメラやレンズを購入する際、手持ちのカメラやレンズを中古品として売却したり、下取りに出したりして購入資金の一部とするのもありです。
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